ゲームサイドUG neo

ゲームサイド編集部の何か

100YEN映画のDVDが届いたので観た

 

1本100円の映画、という意味ではもちろんなく。

日本のゲームセンターやアーケードゲームシーンを紹介する、海外のドキュメンタリー映画「100 Yen: The Japanese Arcade Experience」のDVDがついに完成して、やっと手元に届いて観ることができて、とても感動したので感想を書く。

 

indiegogo」という、あらゆるプロジェクトの寄付支援を募るサイトで、映画公開やソフト制作資金の寄付を受け付けていたのを知ったのがちょうど1年ほど前で、これはぜひとも観たいしDVDとしても欲しかったので、デジタルダウンロード版&DVDとクレジット掲載特典コースの35ドルを寄付した。

 

海外ではかなり普及してるっぽい、この手の寄付支援は初めて経験したけど、英語フォームの壁やPayPal登録の手間が若干面倒なだけで、英語文化に疎い自分でもなんとか寄付ができた。PayPalは前々から登録しておきたかったのでちょうどよい機会だった。

 

 

そして映画内容は、非常に充実した、納得のいくとても素晴らしいものだった。

日本のアーケードゲームシーンは、日本独自で進化していったという前置きに、タイトーの『スペースインベーダー』の誕生から全国でインベーダーブームが起き、日本国内の100円硬貨が不足して造幣局が通常よりも多く100円硬貨を発行したことが、タイトーのスタッフにより語られていた。

だいぶ前にTV番組などでその有名エピソードを聞いたことがあったが、実際に公式の元に語られるのは貴重な証言だと思った。

前身誌でお世話になったz……岡野氏も、日本のゲームシーンのコメンテーターとして登場していて、相変わらずラガーシャツが似合ってるなーと思った(雑な感想)。ざっくり切られてそうだけど「8bit年代記」の闇ゲーセンの話もされたのかな。

 

インベーダーを皮切りに日本のシューティングが進化したと語っており、江古田にある50円ゲームセンター「えびせん」の店長やスコアラーの話も興味深かった。後半に出てくる音楽ゲームシーンの話もだけど、世界記録が日々更新されるスコアランキング集計は熱い。

 

映画では、インベーダー誕生から続いたシューティング盛栄の勢いが90年代以降はストⅡをはじめとする対戦格闘ゲームDDRビーマニなどの音楽ゲームへとシフトする流れを、トッププレイヤーのインタビューとともに、日本のゲーセンに客が入る仕組みや工夫なども交えて紹介していて、ゲーセンの切り口を明確な角度で見せてもらえた気がした。

タイトーステーションやクラブセガ、Heyなどの実在店舗を参照に、1階の入口付近にはプリクラ・UFOキャッチャー、あとは『太鼓の達人』が並び、フロアの奥には音楽ゲーム、上階にいくにつれてマニアック化し、ビデオゲームはおよそ最上階とあるように、狭い日本の家屋事情の都合で筐体の設置を工夫し、客の流れを計算されたという解説はなるほどーと感心した。まるでコンビニの客の流れを読んだ商品配置みたいだ。

 

店舗の場所が、繁華街の行きやすい場所にあることも最大のメリットと踏まえた上の一方で、アメリカのゲーセンでは地方化が進み、車でないと行けない遠い距離にゲーセンがあるので閉店が後を絶たない、と語っていた。

日本でも、繁華街の少ない地方では国道沿いなどの路面店に大きなゲーセンがあるので、街のあちこちにゲーセンのある東京出身の自分にとって、逆に車でないと行けないゲーセンは、ある意味あこがれの場所だったりする。

映画内でも紹介された総合ゲーセンの「ラウンドワン」も、近場の都心ではお台場まで行かないとなかったり、昨年の今頃閉店してしまったけど、「ウェアハウス東雲店」も割と車移動圏内のゲーセンだった(←真夏の炎天下の中、東雲駅から徒歩で行ったら、思いのほかかなり遠くて大変な目に遭った人)。そういえば映画内に出てた「ウェアハウス川崎店」が、内装が九龍城そのものでとても驚いた。九龍城内でDDRをやってる画が、かなり異空間だった。

 

ウメハラ氏をはじめとする国内外のプロゲーマーたちが語る、対戦格ゲーや音ゲー独特の、対戦会場の一体感やゲーセン=交流場などは、格ゲーマーでも音ゲーマーでもないため、残念ながら特にこれといった言葉が出てこないのだが、そういう自分の若い頃からの居場所というか、ゲームでコミュニケーションが取れることや大切な思い出を仲間と共有しているのが、とてもうらやましいと思った。このへんは、自分が学生~青春時代はアーケードゲーム育ちでなかった外野からの視点となってしまうが、これから彼らと同じような経験をするかもしれない未来のアーケードゲーマーのためにも、形を変えつつも残してゆかねばならない遊び場でもあるし、これからも日本のゲーセンにはそうあってほしい、といった締めくくりだった。

 

表題でもある「100YEN」、1PLAY100円に懸けられた真剣さや1PLAYの重み、価値にも振れられていたが、これは今自分がやっている基本無料のソーシャルゲームの課金制にも関係してくる、わりとデリケートな話題で、いまだにモヤモヤがまとまっていないので、もうちょっと考えが固まったらここで書くかもしれないし、書かないかもしれない。とにかく、100円の価値について思うところが山ほどあり、それはアーケードでもソーシャルでも変わりないのは確かだ。

 

 

自分はいわゆる、政府が絡んでくる意味での「クールジャパン」的文化な視点よりも、日本国内ではフツーの光景が諸外国から見たらとても異様で珍妙、しかし工夫が凝らしてあってスゴイ! という、いつも通っている秋葉原を外国人視点で見たらどんな風に写るのだろう……みたいなロストイントランスレーション視点でずっと映画を見ていた。

これだけ街の中で一般的にゲーム筐体が並んでいる国も、おそらく日本しかないだろうし、近頃は長年親しんだゲーセンが軒並み閉店と寂しい現状だけど、このゲームがあって当たり前な光景が、いつまでも続くといいな……など、ぼんやりと考えていた。「今現在」(撮影時2011年)のゲームセンターが様子が映像内におさめられているのも、2年経った今となってはすでに貴重だし、とても有意義だと思う。

 

そういえば、送られてきたDVDパッケージに、本作の監督自らの直筆メッセージが書かれていた。

 

“Keep supporting arcade culture”

 

映画が届く先週末、アキバのゲーセンに行ったら、『ガイアポリス』と『エグゼドエグゼス』が稼働していて、どちらも3面までは何とかクリアできた。

これまであまりアーケードに慣れ親しんできてなかったけど、歳を取りすぎた今から始めても遅くはないだろうか……? そんな気持ちにさせてくれる映画だった。

 

「100 Yen: The Japanese Arcade Experience」、公式サイトからDVDが約25ドルで発売中なので、これを読んでも読んでなくても、興味がわいたら観ておくといい。そしてお前は(100円を握りしめてゲーセンに)走り出す! 何かに追われるように!!

 

f:id:gameside:20130517184619j:plain

宿命の魔鏡、クリアしたよ

先週、3DSキャッスルヴァニアこと『宿命の魔鏡』を、やっとこさクリアした。最近夜も暖かくなってきたので、帰りはバス通勤でなく徒歩帰宅してるのだが、徒歩中にプレイしていたらクライマックスを迎えてしまい、気づいたら自宅前で棒立ちになってクリアしてた。

で、編集長も追って先週末のうちにクリアしたので、クリア後の感想や考察を、ふたりでいろいろしてみた。致命的なネタバレとかは特にないと思うので、適当にこっそりと読めばいい。

 

自分のクリア達成率は84%くらいで、編集長は2周目で100%のパーフェクト達成して、残り1つ未解除のごほうびムービーを見られたそうだが、ED映像直後の続きっぽい内容だったそうで。「その後ベルモンド家は~しましたとさ」的な後日談ではないのか……。

 

 

(操作関係の話)

アイテム回収の難所のコツは、たとえば2段ジャンプしたのちにLボタンでダッシュ移動して目的地へ着地や、落下先にアイテムがある場合は落下→アイテムゲットからのジャンプ移動、などのちょっとした移動コマンドが要点だったらしい。壁をはさんだ隣の宝箱が見えるだけに、そこへ移動できなかったのが今さらながら悔しい。

 

キャラが下へ落ちるとHP大ダメージや下手したら死ぬのが、すっごく高度な『スペランカー』っぽいって話にもなった。スペランカーは一見死なないだろー的高低差でも死んじゃうけど、『宿命の魔鏡』も、ある程度の高低差を見込んで落ちてうっかり死んだりするのは、スペランカーにも共通する。要は高さの問題でなく、プレイヤー側の甘く見つもりすぎた高低差認識が問題だった。

 

スキルアップごとに解除されるムチ技コンボは、間合いと発動タイミングを絶妙に測らないとうまく決まらないのが多いわりには、べつにコンボ関係なく攻撃は入るのがアクション不慣れ者にはありがたい雑味。たぶんLボタンカウンターのバレットタイム時の間に決めろ! とか、発動場面が限られてるのかも? YorXボタン長押しが、いちばん簡単に決まって攻撃力も高いのでオススメ。

 

攻撃や探索、トリック解読パズル要素はともかく、移動がよかったねー、という意見が一致した。何だかんだとクリアするまで遊べたのは、ワイヤーアクションやトロッコ移動などのアスレチックがしたかったのではないか。3DSキャッスルヴァニアは、超美麗2Dグラフィックのアスレチックゲーだった。

そういえば幼少時代、アスレチックで何が一番楽しかったかなーと思い出してたら、滑車でシャーッと滑るターザンロープが特に好きで、あれに近いモードがあったら完璧だったのになーとも考えたけど、近所でアスレチックを探して実行するほうがむしろ実用的だし、いい運動になるのではないだろうか。

 

 

(ストーリー関係の話)

人間関係の相関についてはネタバレに若干通じてしまうので、できるだけ回避しつつだけど、サブタイトルの『宿命(さだめ)の魔鏡(まきょう)』、本作のストーリーをうまく表現してるなと感心した。父と子の悲しい宿命は避けられぬ合わせ鏡なの……とか言ってるのかしら。

第2章のラストにチラッと出てくるトイ・メーカーのおっさんは、続編フラグっぽいけどどうなんだろう。あと主人公に倒されては何度もよみがえるデーモンロード(「獅子顔キメラ」と勝手に呼んでた)は、そろそろ永眠させたげたらいいのでは……と、ちょっと不憫な存在だった。まあキメラポジションだしなぁ。

 

あと、英語発音だとシモンは「サイモン」だと初めて知ったところで、ふと『ツインビー』シリーズのシナモン博士の存在が過ぎるが、そういやシナモン博士も冷凍睡眠で100年の眠りにつくんだっけ……あっ!?

 

 

……ひとまず、こんな感じでまとめてみたが、あとで編集長チェックが必要かもしれない。

編集長とは、普段やってるゲームのジャンルがかなり対極的なので、進行中のゲームがカブる機会がそうそうないんだけど、『宿命の魔鏡』を通じて近作ゲームについて共通の話ができたのは、なんだか久しぶりだし、まあ楽しかった。

 

ところで本作で自分を悩ませていた、アルファベット表記しかできないメモ機能について「編集長はメモになんて書いてたの?」と尋ねたら、赤い光線が出て通れない場所は「RED LIGHT」など、ちゃんと英語で書いていたらしい……えらい! えいご漬けえらい!(褒めてるつもり)

海外製3DS悪魔城ドラキュラをやった

最近はめっきり、呼吸するかのようにずっと携帯で大相撲カード決戦ばかりやってて、おすもうカードゲームをやる前まではとび森専用機だった3DSをほとんど起動してないのはマズイ、(1月以来のとび森の村放置問題はさておき)そろそろ触りたいなーと思って、先日出たばかりの『Castlevania - Lords of Shadow - 宿命の魔鏡』をやり始めた。

 

悪魔城ドラキュラ』シリーズはほどほどに遊んでるし本誌でも過去に特集組んだりして知識はそれなりにあるので、海外デベロッパーによるほぼ完全オリジナル設定シナリオ、そして2Dアクションとはどんなものかお手並み拝見って感じで始めてみた。

 

ゲームを開始したら、闘いへ旅立つ主人公とヒロインとの前夜~朝チュンムービーが流れてビックリした。さすがはCERO D(17歳以上対象)……!! といきなりレーティングに感心する部分が、流血グロテスク表現だけでない洗礼を受けた。

美麗で奥行きのある3Dグラフィックの中、操作感覚はドラキュラシリーズの2Dアクションそのものだけど、建物内の道すがらにある燭台をムチでたたいても、壊れない。アイテムは地面に転がっているタルの中にあるのだ。

きっとシリーズのファンならば「燭台を壊せないドラキュラなんてドラキュラじゃねーじゃん!」と憤慨するところな気がするけど、よくよく冷静に考えてみると「燭台を壊したらアイテムが出てくるのはおかしい。モノが収納できるタルの中ならば不自然でない……そう思わんかね?」と、常識的な海外デベロッパー=ガイジンに、日本製ゲームの「非常識なウソ」を鋭く指摘されたように感じた。た、たしかに、壁をたたいたら皿に載った肉が出てくるのも非常識っちゃー非常識だ。しかしタルか……。

 

ステージを進めていると、現時点では進められないポイントなどを発見し、画面下のマップにメモを書き込み貼り付けられる機能があるのだが、

f:id:gameside:20130409203110j:plain

このように、上から目線で命令されるので、忘れずにメモろうとすると、

f:id:gameside:20130409203138j:plain

え……英語!?

どうやら日本語/かなが使用できないらしい。

まー海外製だからしゃーないか、と仕方ないのでアルファベットでメモった。

f:id:gameside:20130409203226j:plain

なんか、はずかしいしマヌケっぽいんですけど……英語が分からないんだよ!

フックが必要な場所も「fukku」と書くしかないし!

 

メモがアルファベットしか書けないのもどうなのよー、とも思ったが、まあこれも海外製の“味"かな、と納得させて、ちまちまとやってる。ちなみにメモはマップ上で貼ったら消して新たに書き込める(最大50個)ので、新機能を入手したらマップを戻って、マヌケなアルファベット書きメモポイントを消していく楽しさがある。

編集長も本作をプレイ中なので、この仕様どうよーと話したら「きっとCERO D=17歳以上は義務教育以上の英語に長けていると判断しているからに違いない!」と言うので、無視して話を進めます。

 

とまあこんな感じで、随所に海外製タイトルだということを思い知らされる作りとなっていて、まるで海外の日本大使館や海外交流会などで、ガイジンがジャパンリスペクトで作った日本庭園と茶室で、ガイジンによる茶道を嗜んでるような気分になった。

これがよいとか悪いって問題ではなく、自国文化と他国文化の違いをゲーム視点で、しかもメジャータイトルの冠で知るのは大変興味深いなーと感じた。

前作であるPS3/360の『Castlevania: Lords of Shadow』は未プレイだけど、きっと3Dから2Dに視点変更したことによって、日本人が慣れ親しんだ2Dアクションとはまた違った文化をわれわれに見せてくれているのだなーと解釈してる。

 

ゲームをどんどん進行してゆくと突如、1画面式パズルアクション画面になり、謎解きを迫られたりするモードや、ボス戦のトドメのQTEコマンドが出てきたりと、ただ純粋に2Dアクションのドラキュラシリーズを遊びたいんだーって人には、若干の違和感があるかもしれない。けど、日本製ゲームの「非常識なウソ」を改めて見直し、ああゲームがつくウソってすごいなぁ、と感心させるに違いない。まずは高い場所から飛び降りて地面に落ちてみるといい。「グアァッ!!」と野太い断末魔とともに体力が大幅に減るか、あるいは死ぬから。そういうことかも。

すっごくハマって楽しいー面白いーとまで気分は上がらないけど、あらゆる点において、じっくりと味わいつつ進めてる。やられ復活がやられる直前での場所と、所々に体力と魔力の回復ポイントがある親切心は、へたれゲーオタには大変ありがたい。

 

ところで道に落ちてる巻物(経験値ポイント)を読んでたら、こんなの見つけた。

f:id:gameside:20130409203356j:plain

あっ、イースターエッグ……!?

 

日本語吹替版「Wreck-It-Ralph」を観てきた

f:id:gameside:20130329220345j:plain

先週末、地元の映画館のレイトショーで、ビデオゲームの世界を題材にしたディズニー映画最新作「シュガー・ラッシュ」を観てきた。

地元や近辺で観たい映画がレイトでやっていると、上映終了時間が23時を軽く過ぎても電車と徒歩で帰れて、しかも値段的にもお得なうえに観客も非常に少なくて超快適なので、ちょくちょくレイトショー上映を利用してる。春分の日の3/20にも「ジャンゴ 繋がれざる者」をレイトショーで観に行ったばかりだったけど、そういや昨年の発表からずっと公開を楽しみにしていた本作が、この週末に上映開始だった。ゲーオタとしてこの映画は絶対初日に観なければならないと思っていたので、早速レイトショーで席予約して観に行った。

 

すっごく、良かった! 素晴らしい、いい映画だった。人目に非常に触れにくい当闇ブログなので、ネタバレ放題で感想書いちゃうぜーウヒヒーと思ったが、公開したてでもあるので、できるだけネタバレはせずに書くように務めてみる。

 

当初、実在ビデオゲームのタイトルやキャラクターの豪華出演の触れ込みで本作を知ったのだが、画面の隅々までアレやソレのゲームキャラが登場しているのが、とても嬉しくて楽しくて、終始ニヤニヤが止まらなかった。細かすぎるキャラ配役探しのために、こんなにもう一度劇場ですぐ観たいと思った映画は久々だ。ペーパーボーイはひたすらずーっと新聞配ってたぞ!

 

個人的に一番気にかかっていた、ゲームの世界がメインの本国と、劇中に登場するレースゲーム『シュガー・ラッシュ』の、いかにもディズニーっぽいポップでピンキーでスウィートな世界がメインの日本との、作品要点プロモーションの甚大なギャップは、やっぱり日本で本作を売るためには、ディズニープリンセス的ヒロインや世界観を見立てたキャッチーなイメージの後者を選択せざるを得ないのだなーと、自己納得させるしかなかった。だけどあの邦題「シュガー・ラッシュ」は、全編通して観たあとだとより一層、なぜこうなってしまったという憤りと、壊し屋ラルフの無念さを感じてしまう。馴染みのない英単語だけど「レック・イット・ラルフ」、あるいは「はちゃめちゃラルフの大冒険」でもよかったのよ? あと同じく心配(?)の種だったAKB48のエンディングテーマ曲は、ジャパニーズカワイイ曲感がいっぱいで、なかなかよかった。

 

ゲーム世界のキャラクターたちが、仮想空間「ゲームセントラルステーション」のケーブルを通じて、筐体が稼働し続ける限り、定められたゲームの中を往来してプログラム通りのアクションをするのが、彼らの絶対ルールという設定の中には、彼らやゲーム世界を作ったいわば神的存在のゲームクリエイターが、ほとんど登場せず、ゲームキャラたちが自身の意志でもってプログラムに則った行動を取るのが、とてもよかった。

もしあそこに彼らを作った神=ゲームクリエイターが登場していたら「神の力」でゲームキャラや世界をヘンに動かしてしまう絶対強制不可ルールができてしまうし、あのゲーム世界の中では、人間はモニタの外側でプレイし、ゲームがうまく作動しなければ筐体に「故障中」のビラを貼る、あくまで夢の世界の傍観者だ。

劇中では、ゲームキャラ自らが超有名な裏ワザコマンドを入力してゲーム内プログラムやメモリを改ざんするシーンが出てくるのだけど、こうしたプログラム想定外の意思行動までが限度であって、本当によかった。バグや不具合でもないのに、ゲームキャラたちがどうしてそんなことができるかは、夢の世界だからとしか言いようがない。

 

上映前に購入したパンフレットを読んでいたら、本作監督は、同じディズニー映画で同じく意思のあるオモチャたちを題材にした「トイ・ストーリー」と、オモチャとゲームで題材が似通っている部分は認めるが、「トイ・ストーリー」とは違った作品にしたい、と語っていた。

自分が考えるここの相違点は、「人間に遊んでもらう」点では同じだが、「トイ・ストーリー」のオモチャは、人間の子どもに遊んでもらうのがオモチャの使命であり人生だと考えているのに対して、「シュガー・ラッシュ」のゲームキャラたちは、プログラムに準じた行動を正確に取り、精密に動くことでプレイヤーの人間を満足させることが自分たちの宿命であり、もしこれが不自由になると、人間に不具合だと見放されることを恐れている。人間がやる「遊び」の意味が、オモチャとゲームではまったく違うのだと提示されたような気がした。

どちらも人間に遊んでもらえなくなったら生命を終える時を迎えるのは共通で、自分の場合は、これが特にゲーム寄りなのだと感じさせられた。

忙しくキャラが動き回るゲームセントラルステーションで「仕事を失いました。仕事をください」を嘆願する『Q*bert』のキャラたちが、まるで誰にも気づかれずに時の中に埋もれてしまったゲームタイトルが具現化したように見えて、キュッと胸を締め付けられた。この世には、なぜ生まれてしまったのか分からないようなゲームがたっくさんあって、きっとみんなこんな風に感じてるのだろうなー、とか。

 

トイ・ストーリー」が、もしオモチャに意思があって自由に動き回ったら……? という子どもたちの夢ならば、「シュガー・ラッシュ」はたぶん、よく漫画家が自分の生み出したキャラが自身の意思で勝手自由に動き回る、と語るように、ゲームクリエイターたちの夢なのかも。もしそうならば、夢の主役は彼らと遊ぶプレイヤーであってほしいなと思った。

 

ほかにもいろんな感動がたくさんあったけど、おおよそこんな感じで。月並みな感想だと、ゲームを題材にあらゆる世代が観ても感激できるのがすごいし、お菓子の世界が舞台のレースゲームが、実はとびっきりクールなマリオカートに進化するのが、レースゲーム好きにはとても刺激的だった。ゲーム好き、あと甘いお菓子好きには超たまらない本作なので、お菓子をいっぱい抱えて観るべし。

 

 

P.S.

本日で閉店を迎えた、神保町の「ゲームコーナー ミッキー」に、映画を観た翌日、駆け込みで最後のお別れをしてきた際、なんと465in1筐体に『Q*bert』が入っていて、初めてプレイできた。よかった、彼らにもちゃんと仕事場とプレイヤーがいたよ。レバー操作がめっちゃムズくて即死しまくったけど!

f:id:gameside:20130329220440j:plain

100インチ投射型ゲームボーイアドバンス

またゲームボーイアドバンスの話題か! としつこいけど、特に誰にも突っこまれることのない最果てブログなので、ゲームボーイアドバンスのことをまた書く。

先日、とある機会と場所に恵まれ、ゲームキューブゲームボーイプレイヤーを接続し、今マイブームのゲームボーイアドバンスのソフトを100インチプロジェクターで遊ぶという快挙を達成してきた。

 

感想:うおおおおーーーでっけーーーきれーーー意外とイケる!!!!

 

以上。

いやはや、感想以上の新感覚体験だった。画面がただデカイってだけで、人類はこのように感激できるのかと。何せ普段は2.9インチ反射型TFTカラー液晶の画面でしか世界を見ていないので、まるで初めてメガドラやスーファミで回転拡大縮小機能を見た時の驚きようだ。アナログテレビから液晶テレビを買い換えてハイデフゲームを遊んだとき「メニューの文字、こんな事書いてあったのか-!」と今までつぶれて読めなかった文字がクッキリハッキリ見えるようになったあの感動とは、ちょっと違ってた。

 

自分がプレゼンしたGBAのゲーム(メトロイドフュージョン、IRIDION 2)は、ことごとくヘタすぎて「お前はそれでもゲーム専門誌の人間か!」とオーディエンスからブーイングの嵐だったけど、「シューティング好きだからシューティングが上手いんだろ? と上手くてさも当然のように言われるが、シューティングが上手くなくたっていいんだよ!」という、いつか誰かが言ってたフォローを頂き、大変ありがたかった。しかしヘタすぎるのは紛れもない事実だ。

 

ゲームキューブと聞きつけて『R:RACING EVOLUTION』の同梱ソフト『パックマン.VS』を、人数分コントローラごと持参してきたメンバーがいたので、初めて対戦もやってみた。本作はソフトはコントローラ以外にもGBA本体が必要なのだが、GBAマイブーム中の自分以外にも、なんとGBASPを携帯してるメンバー(どうやら『ウィザードリィ』をプレイ中らしい)がいて、そちらの本体を接続して遊んだ。すげー盛り上がった。

4人のプレイヤー間で、コントローラとGBA本体をグルグルと移し替えたりするのでコントローラのコードが絡み合いがちになるのも、何だか可笑しい。有線ばんざい。

 

一応、今回の集まりのテーマが新年会(もう3月だけど……)だったわけだが、まさか2013年にもなって、GBAゲームキューブを引っぱり出して、有線コントローラをぐっちゃぐちゃにしてるなんて、きっと『PSO』に夢中になってた10年前には想像つかなかったかも。あと10年はPSOを続けていると信じてた。

 

f:id:gameside:20130314180945j:plain

f:id:gameside:20130314181024j:plain

プロジェクターなのでちょい画面暗めだけど、プレイの様子はこんな感じ。かっこ悪いやられ具合も衆人環視で見られてしまう……ビクビク!

寝た子も起きるゲームボーイアドバンス

いやー年度末ってほんっとつらいですよねー。そんな時は物置の中からゲームボーイアドバンス(SPやミクロでも可)を引っぱり出して、起動してみましょう! 運が良ければ数年ぶりでも電池が生きててビックリしてるうちに年度末が終わります! 一年あっという間ですねー!

 

……というわけで、実は最近、ゲームボーイアドバンスブームがなぜか急激に到来中。数年に一度ほどゲームボーイとの蜜月期が唐突に訪れて、そのつど「バッテリー切れた!」「本体内部が断線してる!」と嘆いたりするのだが、ヤフオクで専用ドライバー付きアドバンスバッテリーを落札、交換するほどの周到ぶり。

 

が、肝心のソフトの所在が、家中バラバラで行方不明っぽいので(あいつら小っさいからな~)、とりあえず編集部から何本かソフトを借りて、手当たり次第遊んでる。今は『メトロイドフュージョン』をプレイ中。

メトロイド』は初代を先日3DSバーチャルコンソールでDLして、あまりの難易度に詰んでしまってるんだけど、フュージョンなら自分でも何とか進められそう。マップやナビゲーション機能が大変ありがたい。あとスリープ機能。SPだとDSみたいにフタを閉じてもスリープにならないのを思い出した。逆行思考!

 

名作のようなので、もうあちこちで絶賛されつくしてるだろうし、本作について今さら何も言うことないぐらいだけど、やってて一番感激したのが、SF映画のような序盤の演出とグラフィック、あときめ細やかなアクション。これやる前に、360で『カプコン アーケード キャビネット -レトロゲームコレクション-』収録の無料タイトル『ブラックドラゴン』をたまたまやってて「ジャンプの挙動が雑やな~」と思ったばかりなのも影響してるが、ジャンプや攻撃の一つ一つが、サムスをこう動かしたいなーって指令するコントローラの指の動きと完全シンクロしてるのが、とても素晴らしい。コントローラとプレイヤーキャラ一体感、ほんと大事だなーと感心した。

ところで、シナリオゲーム的な一枚絵を上下から滑るように表示する演出は、携帯機ではアドバンスから始まったのかな? ここから数年後、二画面となって画面スクロールさせなくても絵が全表示されるようになるんだなー、と考えると、何となくすごい。

 

しかしまあ……ゲームボーイはとにかく画面が暗い!! こんなに暗かったっけかーと痛感する。DSだとまばゆすぎる、画面に陽が差す日中でやるのがちょうどいいぐらい。って、もしかして当時から、この環境下のプレイ推奨なのかな。

あーDSぐらいの画面の明るさで、ゲームボーイアドバンスSPサイズの本体、出ないかな-。今さらだけど作ってほしい。あるいは、サムスのエンディングごほうびグラフィックを2画面で見たいから『メトロイド』の2D新作を出して!

 

f:id:gameside:20130308142541j:plain

ゲームボーイプレイヤーで、アドバンスをコントローラがわりに『F-ZERO CLIMAX』もやってみる試み。アドバンスはEさんの形見らしい。スクリーンカバーが付いたままだと専用ケーブルを差し込めないので外そうとしたら、差し込み部分がめちゃくちゃ固くて苦労した。